始発で座れる駅は郊外でも周辺地域より地価が高いのか?(JR編)

東京の代名詞、 通勤ラッシュ
高度経済成長期ほどではないにしろ、人口現象時代に突入した現在でも東京の通勤ラッシュは未だ健在である。

この、一部では地獄とも称される東京の通勤ラッシュをやりすごす一番手っ取り早い方法は何か。
– 座ることである。

では、一部では東大合格よりも難しいとされるラッシュ時の座席確保を確実に行える一番手っ取り早い方法は何か。
– 始発駅から乗ることである。

というわけで今回は、始発で座れる駅はたとえ郊外でも周辺地域と比べて地価が高いのか、あるいはそうでないのかを調べてみた。
今回対象にした駅は、

・東京23区外である。
・東京駅から30km以上離れている。
・周辺地域の代表駅ではない。
・路線の終着駅ではない(途中駅である)

上記の条件を満たすものを対象にした。
地価が高い理由が単純に市街化が進んでいるという場合をできる限り除外するためである。

また、地価については土地代データの公示地価・基準地価の平均(2019年版)を参照した。

それでは見ていこう。
世界でも有数の労働時間を誇る(?)日本人、通勤時に座れる駅はきっともてはやされているはず…

1.武蔵小金井駅(中央線 東京から30km)

出典:wikipedia

まずは武蔵小金井駅。ここはまだ郊外という感じではない。が、東京からちょうど30kmなうえ、近接駅に三鷹や吉祥寺、国分寺があり、周辺の代表駅とは言えないと判断したため、取り上げる。隣駅は東小金井・国分寺である。平日の始発電車は、早朝4~6時台に各駅停車が4本、7~8時台に各駅停車が1本、快速が4本である。割合はあまり多くないため、確実に座れるという保証はないかもしれない。狙っていかないと厳しそうだ。

地価はというと、
東小金井:354,555円/m2
武蔵小金井:429,600円/m2
国分寺:422,000円/m2

中央本線特急以外の全優等列車が停車し、西武線も乗り入れるなど駅の規模としては武蔵小金井を上回るであろう国分寺の平均地価を上回る結果となった。東小金井に至っては東京に一駅近いにも関わらずやく7万円/m2も安くなっている。始発電車が全てとは言えないかもしれないが、武蔵小金井の地価を押し上げる一因となっていると考えてもいいだろう。

2.豊田駅(中央線 東京から44km)

出典:wikipedia

同じく中央線から豊田駅。立川・八王子に挟まれているうえ、東京寄りの隣駅は日野市の中心駅である日野駅があり、まさに郊外の駅といった様子である。平日の始発電車は、早朝4~6時台に各駅停車が4本、快速が7本、7~8時台に快速が2本である。ちなみに、高尾方面にも6時台に大月行き、8時台に甲府行きが設定されている。豊田車両センターからの出庫の関係もあってか早朝に始発が偏っており、ラッシュ時間帯にあまり多くないのはやや使いづらいかもしれない。ともに市の中心駅である日野駅・八王子駅に対してどれだけ奮闘できるか。

日野:216,586円/m2
豊田:236,250円/m2
八王子:471,000円/m2

八王子は駅の規模が圧倒的に違ううえ、始発も設定されているので妥当な結果といえるだろうが、東京寄りの日野駅よりも平均2万円/m2高いという結果になった。特に混雑が激しい中央線のユーザーにとっては、始発のもつ付加価値はやはり高いのだろうか。

3.高尾駅(中央線 東京から54km)

出典:wikipedia

中央線から最後は高尾駅。言わずと知れた中央線の運転系統上の拠点駅である。当駅を境に大月方面の電車の本数はぐっと少なくなる。高尾山が聳えるなど車窓の変化が顕著になるのもこのあたりからだが、まだまだ東京への通勤需要は旺盛である。平日の始発電車は、早朝4~6時台に各駅停車2本、快速10本、中央特快1本、成田エクスプレス2本、7~8時台に快速17本、通勤特快1本と、圧巻の本数である。果たして始発電車への需要は地価押し上げにどれほど貢献しているだろうか。

西八王子:164,384円/m2
高尾:110,633円/m2
相模湖:58,933円/m2

西八王子に完敗…。東京から50km離れると、対東京通勤以外の力学が働いていそうである。

4.河辺駅(青梅線 東京から54km)

出典:wikipedia

青梅線からは河辺駅をピックアップした。こちらも高尾駅同様東京から50km強の距離だが、平日の始発電車は早朝4~6時台に立川行き各駅停車が1本、東京行き快速が1本、7~8時台に立川行き各駅停車が1本、東京行き快速が2本と、あまり多くはない。地価はというと、

小作:146,342円/m2
河辺:172,444円/m2
東青梅:99,271円/m2

こちらは高尾とは違い、周辺地域に比べ地価が高くなっている。これは単純に市街化度合いの違いから来るものなのだろうか? 詳細な検討が必要だと思われる。

5.我孫子駅(常磐線 東京から38km)

出典:wikipedia

常磐線からは我孫子駅。我孫子市の中心駅ではあるが、柏駅まで快速で1駅で行けるなど、周辺地域の代表駅とまではいかないと判断し、検討の対象とした。我孫子駅は常磐線快速電車よりは、東京メトロ千代田線に直通する常磐線各駅停車の運行拠点駅である。平日の始発電車は早朝4~6時台に各駅停車11本、7~8時台に各駅停車13本と豊富に設定されている。近年は「着席通勤」を謳ったマンションの開発が相次いでいる我孫子だが、地価にはどれほど影響を与えているだろうか。

北柏:114,200円/m2
我孫子:124,278円/m2
天王台:117,762円/m2

確かに隣駅よりはやや高いものの、我孫子氏の中心駅ということを差し引いて考えるとどうだろうか。始発電車の設定が地価に与えている影響はあまり大きくないように思われる。

6.小金井駅(宇都宮線 東京から88km)

出典:wikipedia

続いては、これまでとうって変わって東京から80km以上離れた小金井駅である。上野東京ライン・湘南新宿ラインに小金井行きが多く設定されていることから、耳にしたことがある方も多いのではないだろうか。平日の始発電車は早朝4~6時台に11本、7~8時台に4本である。東京から距離があるため、早朝の設定が多くなっているのは納得できるだろう。ただ、ここまでくると東京よりは宇都宮・小山が主な通勤先になってくる気もするが…。

小山:56,445円/m2
小金井:38,975円/m2
自治医大:63,933円/m2

地価の谷間になってしまった。80kmも離れるともはや東京方面へ座って行けるかどうかは関係なくなってしまうのか。試しにいくつか類似例を見てみよう。

7.籠原駅(高崎線 東京から72km)

出典:wikipedia

高崎線の籠原駅も、上野東京ライン・湘南新宿ラインの行先に多く設定されていることから名前は知っている方が多いように思う。平日の始発電車は早朝4~6時台に9本、7~8時台に4本である。早朝の設定が多いのは小金井駅と同様の理由によるものだろう。隣駅が新幹線停車駅ということも含めて共通点が多い小金井駅と籠原駅だが、地価は果たして…

熊谷:101,300円/m2
籠原:49,033円/m2
深谷:57,855円/m2

全体的な相場は宇都宮線よりやや高いものの、小金井駅と同様に籠原駅が地価の谷間となってしまった。いわゆる中距離電車の始発駅はどこも似たような状況なのか。確認のためもう一つだけ例を。

8.国府津駅(東海道線 東京から78km)

出典:wikipedia

東海道線の国府津駅。中距離電車の行先でよく見る、東京から約80km、新幹線停車駅に近い郊外の駅と、共通点は多い。平日の始発電車は早朝4~6時台に8本、7~8時台に5本である。

二宮:100,658円/m2
国府津:97,040円/m2
鴨宮:126,100円/m2

やはり地価の谷間が浮かび上がった。上記の仮説はそれなりに妥当性がありそうだ。

今回見えてきたことは、
・中央線の例から見えてきたように、東京から30~40km圏は対東京通勤需要が旺盛であり、郊外の駅でも周辺より地価が高くなる傾向が見られやすい。
・反対に東京から70~80kmほど離れた、いわゆる中距離電車の発着点は、始発電車の地価への影響がほとんど見られない。
・東京から50km付近は始発電車の影響が見られる地域とそうでない地域があった。おそらく50km付近が境界か?

といった点であろう。次回以降の詳細な分析につなげていきたい。

新井


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